再会

最近、旧友と再会していろいろ思うところがあったのでブログで共有したいと思います。

前置きとして、少し昔話をします。

 

【僕と高校受験】

2010年夏、友達と一緒に高校生活を過ごしたいという考えから、僕は友達と一緒にヤンキーかジャンキーしかいない偏差値30台の限界高校に出願する予定だったのですが、親にバチボコに叱られ、まあまあまともな高校を目指すことになりました。

 

そのままの状態で志望校に受かるはずもなく、僕は受験勉強することを強いられました。勉強する場所として選んだのは、近所の図書館の自習室でした。

図書館の周りにはマクドナルドくらいしか飲食店がなく、普段はそこでチーズバーガーを2個購入し、昼食にしていました。

その時の僕はまだ自分の運命に気づいていませんでした。

 

【偉大な友人との出会いと彼の死】

僕には気に入ったら同じものを食べ続ける習性があります。過去には磯丸水産のまぐろ2色丼、ファミチキ、パルム、セブンチャーハンなどを毎日のように食べていました。

 

当時のお気に入りはチーズバーガーだったのですが、ある日何を思ったのか違うメニューを頼んでみたいと感じたです。

(ここで「その時歴史が動いた」というナレーションが入る)

 

僕はこの日、唯一無二の友人となる「「「マックポーク」」」に出会います。

マックポークとは2007年から2012年の間全国のマクドナルドで販売されていたいわゆる「100円マック」で、当時は同じ「100円マック」であるチキンクリスプと人気を二分していました。

 

「ウマっ、ウマっ、なにこれウマっ」

遠い昔の話ですが、そう思ったことだけは覚えています。

 

それから僕は狂ったようにマックポークを貪り始めました。朝飯、昼飯、3時のおやつ、晩飯にマックポークを採用し、チキンクリスプ信者を2chで叩きました。

 

マックポークの豊富な栄養価のおかげもあり、僕は無事第一志望に合格しました。

その後高校に入って部活に勉強にと充実した日々を送るうちにマックポークを食べる頻度は減っていきました。

高校二年の時、僕は「久しぶりにマックポークと“”対話“”しに行こうと近所のマクドナルドを訪れました。

しかしもうその時にはメニュー表に「マックポーク」の文字はなく、僕はただ天井を見つめるだけでした。その日の記憶はもうありません。

彼は僕に別れを告げることもなく死んでいきました。2012年、銀杏の葉が色づき始める10月の出来事でした。

 

【生きていく】

中学時代、僕は1日1個はマックポークを食べていました。僕の塾の友人4人も同じでした。日本の人口は約1億2000万人なので、マクドナルドは1億2000万個/日(120億円/日)の売上を放棄したことになります。(僕はフェルミ推定が得意です)

 

マックポークの販売終了を知ってからは、「日本マクドナルドは大馬鹿者だ。2兆株を売却する」と毎日のように友人に吹聴していました。最初こそ共感を集めていましたが、周りに相手にされることはなくなりました。

 

人間は嫌なことを忘れる動物だとはよく言ったもので、日に日に腹の底から湧き上がる怒りというものは消えていき、最後には僕の記憶からすっぽり彼の記憶は抜け落ちていました。

 

時は過ぎ、7年後の2018年。現在僕は関西を離れて東京でサラリーマンをしています。

僕の会社はどちらかというと激務の部類なので夕食がファストフードになることが多く、その日もオフィスの近くにあるマクドナルドに夕食を買いに行きました。

マクドナルドのスタッフはレジの前で注文するメニューを決めかねている客に新商品や比較的単価の高い商品を勧めることがあります。

この日、僕は残業続きとノルマへの意識で疲れていたためレジの前でぼーっとしてしまっていました。

すると店員が「「「ベーコンマックポーク」」」を勧めてきたのです。

「へえ、そんなの出たんだ。 …え!?マックポーク!?!?!?」

僕は「2秒で持ってこい」と店員に命令しました。

 

1.3秒後、僕に提供されたマックポークの発する香りは僕の第六感(シックス・センス)を刺激しました。

僕は数年ぶりの再会を喜びながらマックポークを口に入れました。

「ばくり。もぐもぐもぐ。」

次の瞬間、僕の眠っていた記憶が次々とよみがえっていくのを感じました。

 

ケンカした友人にごめんと言えずに卒業式を迎えた。

好きだった子に告白できなかった。

部活も勉強も就活も全力で取り組めなかった。

自分が夢中になった趣味を介して知り合った友人をなぜか冷ややかな目で見てしまっていた。

親の期待する自分になれなかった。

毎日仕事に行くのがつらい。

 

けれど

僕には仲のいい友人がいて、大好きな彼女がいて、健康な親がいる。きっと取り戻せる。

食べ終わるころ、僕は泣いていた。

「ありがとう、マックポーク。」

僕は入店時より明るい顔で、残った仕事を処理するためにオフィスビルに戻りました。

 

【epilogue】

3連休が終わり、明日から仕事が始まる。仕事をしていれば嫌なこともきっとある。それでも前を向いて生きていくべきだということをマックポークは教えてくれた。

 

だから僕は地元のマクドナルドのほうに向かって手を振りながら今日もこう言うんだ。

「明日も一日頑張るぞい」